日本語文法項目用例文データベース『はごろも』プロジェクト
プロジェクト紹介
1.概要
このプロジェクトは,第二言語としての日本語教育の教師支援と中上級以上のレベルの学習者の自律支援などを目的として,文法項目(1848項目)の難易度,意味用法,典型例,話し言葉と書き言葉の複数のコーパスから抽出した用例を示すものです。
2.研究の進捗
- 2010年4月 コーパスを選定,文法表作成開始
- 2012年3月 主観判定による6段階レベル分け
- 2012年4月 学習項目解析システム公開
- 2015年3月 機能語用例データベース「はごろも」ver1.0を公開
- 2015年5月 機能語用例データベース「はごろも」ver1.1を公開
- 2016年10月 機能語用例データベース「はごろも」ver1.3を公開(ダウンロード)
- 2018年5月 機能語用例データベース「はごろも」ver2を公開(ダウンロード)
- 2021年11月 機能語用例データベース「はごろも」ver3を公開(ダウンロード)
- 2024年3月 機能語用例データベース「はごろも」ver4を公開(ダウンロード)
3.研究助成
- 科学研究補助金 「科学研究費補助金基盤研究(C)「 日本語教育のためのコーパスに基づく文法項目データベース構築と検索システムの公開」課題番号:22520538,(平成22年度~平成24年度 代表:堀恵子)」
- 基盤研究 (A) 汎用的日本語学習辞書開発データベース構築とその基盤形成のための研究(平成24年度~平成26年度代表:砂川有里子,研究課題番号:23242026)のうち、平成25年度から平成26年度まで、分担者堀恵子
- 科学研究補助金「科学研究費補助金基盤研究(C)「日本語教師支援のための学習者コーパス文法項目データベースの構築と公開」(平成27年度~平成29年度 代表:堀恵子,研究課題番号:15K02654)
データベースの紹介
1.文法項目の選定
文法項目は,下記の5件の資料を参考にしました。
- グループジャマシイ(1998) 『教師と学習者のための日本語文型辞典』くろしお出版
- 国際交流基金・日本国際教育協会(2002)『日本語能力試験出題基準【改訂版】』
- 国立国語研究所(1951)『現代語の助詞・助動詞−用法と実例−』国立国語研究所
- 国立国語研究所(2001)『現代語複合辞用例集』国立国語研究所
- 森田良行・松木正恵(1989)『日本語表現文型』アルク
このうち,2.と4.はすべて網羅しています。
2.用例の出典コーパス
(1)書き言葉
- 「日英新聞記事対応付けデータ (JENAAD)」
- 「ブログデータ(京都大学・NTTによる)」京都大学情報学研究科--NTTコミュニケーション科学基礎研究所 共同研究ユニットによる
- 「白書」
- 「CASTEL/J CD-ROM V1.5 」日本語教育支援システム研究会
(2)話し言葉
- 「日本語会話データベース」平成8‐10年度文部省科学研究費補助特定領域研究「人文科学とコンピュータ」公募研究(「日本語会話データベースの構築と談話分析」 研究代表者 上村隆一)の成果による
- 「宇都宮大学 パラ言語情報研究向け音声対話データベース (UUDB)」
- 「名大会話コーパス」科学研究費基盤研究(B)(2)「日本語学習辞書編纂に向けた電子化コーパス利用によるコロケーション研究」(平成13年度〜15年度、研究代表者:大曾美惠子)
- 「BTSによる多言語話し言葉日本語会話1」宇佐美まゆみ監修(2005)『BTSによる多言語話し言葉コーパス-日本語会話1』東京外国語大学大学院地域文化研究科21世紀COEプロジェクト「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」
3.難易度レベル
6レベル(初級,初中級,中級,中上級,上級,超級):日本語教育経験者7名による主観判定を行い,評定の一致度に関して中程度の一致が見られた5名の平均値を採用し、レベル付けを行った。
関連研究:堀恵子・李在鎬・砂川有里子・今井新悟・江田すみれ(2012)「文法項目の主観判定による6段階レベルづけとその応用」2012年日本語教育国際研究大会ポスター発表
メンバー紹介
1.平成22年度から
堀恵子(東洋大学・筑波大学):統括,項目選定,意味用法,例文作成,用例抽出
江田すみれ(日本女子大学):項目選定,意味用法,例文作成,用例抽出
李在鎬(早稲田大学):解析,難易度付与,webツール開発
2.平成25年度から
砂川有里子(元筑波大学):アドバイザ
3.平成27年度から(五十音順)
内丸裕佳子(岡山大学)文法班
小西円(東京学芸大学)文法班
建石始(神戸女学院大学)文法班
中俣尚己(京都教育大学)文法班
山崎誠(国立国語研究所)文法班
4.2020年度から(五十音順)
堀恵子(東洋大学・筑波大学):統括,実験授業計画・実施
加藤恵梨(愛知教育大学):実験授業計画・実施
ヨフコバ四位・エレオノラ(富山大学):実験授業計画・実施
李在鎬(早稲田大学):データ分析
実績
1.報告書
科研費報告書 「科学研究費補助金基盤研究(C)「日本語教育のためのコーパスに基づく文法項目データベース構築と検索システムの公開」課題番号:22520538,(平成22年度~平成24年度 代表:堀恵子)」
2.これまでの発表
- 2010年7月 堀恵子・江田すみれ・李在鎬「日本語教育のためのコーパスに基づく文法項目データベース構築と検索システムの公開をめざして」ICJLE世界日本語教育大会台湾ポスター発表
- 2011年5月 堀恵子・江田すみれ「web公開予定文法用例検索システム『日本語文法項目用例文データベース』の文法項目選定について」日本語教育学会2011年度春季大会
2011年9月 堀恵子「web公開予定文法用例検索システム『日本語文法項目用例文データベース』の概要と目指すもの」日本語学習辞書科研(代表:砂川有里子) 平成23年度第1回全体研究集会
- 2012年3月 堀恵子「文法項目検索システム「はごろも」の文法リスト作成」、江田すみれ「文法項目検索システム「はごろも」を使った応用研究」日本女子大学術交流・日本女子大学大学院文学研究科主催,「日本語文法項目用例文データベース『はごろも』」研究会共催シンポジウム「webでつながる日本語教育」
- 2012年6月 堀恵子「『日本語教育のためのコーパスに基づく文法項目データベース構築と検索システムの公開』について」日本語学習辞書科研(代表:砂川有里子)平成24年度第2回分担者会議
- 2012年8月 パネルセッション「webツールを通して世界とつながる日本語教育‐文法用例文検索システム「はごろも」と国内外での利用可能性‐」登壇者(堀恵子,江田すみれ,山田ボヒネック・頼子,毋育新)2012年日本語教育国際研究大会ICJLE名古屋
- 2012年8月 堀恵子・李在鎬・砂川有里子・今井新悟・江田すみれ「文法項目の主観判定による6段階レベルづけとその応用」2012年日本語教育国際研究大会ICJLE名古屋ポスター発表
- 2012年9月 堀恵子「文法項目データベース「はごろも」の海外における利用可能性をさぐる−口頭能力評価と読解教材分析から−」日本語学習辞書科研(代表:砂川有里子)平成24年度第1回全体研究集会
- 2013年3月 堀恵子・江田すみれ「web公開予定文法用例検索システム「日本語文法項目用例文データベース『はごろも』」のレベル付けと学習者コーパスの比較」『第3回コーパス日本語学ワークショップ』国立国語研究所
- 2013年3月 堀恵子・江田すみれ「口頭表現能力評価に対して文法研究が貢献できること」科学研究費助成事業合同成果発表会『言語能力評価の最前線-運用能力の評価を目指して―』於桜美林大学
- 2014年12月 堀恵子「学習者に必要な文法項目はなにか―「はごろも」文法表の用例収集作業から見えてきた項目―」堀恵子(東洋大学・筑波大学)日本女子大学学術交流・日本女子大学大学院文学研究科主催 日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会共催「コーパス研究を踏まえた新しい日本語教育にむけて‐何を活かすか,どう活かすか‐」
- 2017年3月 堀恵子, 内丸裕佳子, 加藤恵梨,小西円,山崎誠,江田すみれ,建石始,中俣尚己,李在鎬「機能語用例文データベース『はごろも』の今後の展開」言語資源活用ワークショップ2016
- 2017年8月 堀恵子・江田すみれ・山崎誠「機能語用例文データベース「はごろも」に付与する文法カテゴリー情報について」15th International Conference of the European Association for Japanese Studies ポスター発表
- 2017年9月 内丸裕佳子, 堀恵子「機能語用例文データベース「はごろも」における文法項目の意味・前接形態・文法カテゴリー情報の記述と今後の課題」第49回日本語教育方法研究会
- 2018年12月 堀恵子「機能語用例文データベース 「はごろも」2018年更新版 に対する教師と学習者による評価」日本女子大学文学部学術交流企画主催 機能語用例文データベース「はごろも」研究会共催公開シンポジウム『コーパスを使った類義表現・多義語の研究』
- 2019年8月 堀恵子「機能語ウェブツールを使った自律的文法学習の効果」第23回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム
- 2021年8月 堀恵子「データ駆動型学習を取り入れた日本語授業」第34回日本語教育連絡会議
- 2022年8月 堀恵子「自律的データ駆動型学習における文法項目の認知度と文作成の関係」第24回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム
- 2022年9月 堀恵子「機能語用例文データベース『はごろも』を利用した オンライン授業における実践の試み」第七回学習者コーパス・ワークショップ &シンポジウム「コーパスは日本語指導に役立つか-データ駆動型学習DDLの活用を考える-」
- 2022年12月 堀恵子「機能語用例文データベース 『はごろも』を利用した 日本語教育へのDLL導入の試み」 英語コーパス学会DDL SIGオンラインシンポジウム
- 2023年8月 堀恵子「オンライン環境におけるデータ駆動型学習(DDL)3年間のふり返りーグループ活動を中心にー」第36回日本語教育連絡会議
- 2023年12月 堀恵子「データ駆動型学習DDLを取り入れた文法授業の実践研究」第34回第二言語習得研究会(JASLA) 全国大会
3.開いたシンポジウム
■2021年2月公開シンポジウム「データ駆動型学習DDLを取り入れた言語教育」
・基調講演
データ駆動型学習DDLとはー英語教育におけるDDL概観と実践 佐竹由帆(駿河台大学)
・発表
- 英語教育におけるDDL実践①小学校の英語教育 西垣知佳子(千葉大学)
- 英語教育におけるDDL実践②言語教育への応用 水本篤(関西大学)
- 日本語教育におけるDDL実践①語彙教育 田邊和子(日本女子大学)
- 日本語教育におけるDDL実践②文法教育 堀恵子(東洋大学)
- 今後の展望 李在鎬(早稲田大学)
■2014年12月公開シンポジウム「コーパス研究を踏まえた新しい日本語教育にむけてー何を活かすか,どう活かすかー」
日本女子大学学術交流・日本女子大学大学院文学研究科主催、
日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会共催
・発表
- 「「つもり(だ)」をめぐって―意志表現の指導の観点から―」高梨信乃 (神戸大学)
- 「「ようになる」と「てくる」―学習者の誤用を減らすために―」江田すみれ(日本女子大学)
- 「コーパス研究を教育現場に活かすための課題―日本語の受身を例として―」増田真理子(東京大学)
- 「学習者に必要な文法項目はなにか―「はごろも」文法表の用例収集作業から見えてきた項目―」堀恵子(東洋大学・筑波大学)
■2013年12月 公開シンポジウム「談話研究から文法教育へ」
日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会、
科研費基盤研究(A)「 汎用的日本語学習辞書開発データベース構築とその基盤形成のため の研究」(研究代表者:砂川有里子 筑波大学人文社会系)
・発表
- 「談話研究からみた話し方教育への示唆― 学習者はディスコースマーカーをどのように身につけるのか―」石黒圭(一橋大学)
- 「誤用分析からみた作文指導への示唆」仁科喜久子(東京工業大学名誉教授)
*指定討論者:砂川有里子(筑波大学人文社会系教授)
■2013年2月 公開シンポジウム「習った表現・見落としている表現を見直す−文法、対照研究、語用論、習得の視点から−」
日本女子大学学術交流企画・日本女子大学大学院文学研究科主催、日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会共催
・発表
- 「「ていた」の用法-「ている」の知識を応用するだけでは十分でない「ていた」の使い方について-」江田 すみれ(日本女子大学)
- 「配慮表現として用いられる初級文法項目の運用と習得」牧原 功(群馬大学)
- 「順接と逆接の境界-テモ節に外国語の順接表現が使用される場合を例に-」蓮沼昭子(創価大学)
- 「条件形式を含む前置き表現の習得について-学習者と母語話者のコーパス調査から-」堀 恵子(東洋大学・筑波大学)
■2012年3月シンポジウム「webでつながる日本語教育」
・発表
- 「ウェブ版『現代日本語書き言葉均衡コーパス』検索ツールの紹介」山崎誠(国立国語研究所)
- 「日本語学習者作文コーパスについて」李在鎬(筑波大学)
- 「『リーディング・チュウ太』を用いた教材作成」川村よし子(東京国際大学)
- 「日本語学習辞書科研の紹介と経過報告」砂川有里子(筑波大学)
- 「文法項目検索システム「はごろも」の文法リスト作成」堀恵子(東洋大学・筑波大学)
- 「文法項目検索システム「はごろも」を使った応用研究」江田すみれ(日本女子大学)
ダウンロード
必要情報を入力後,送信ボタンをクリックしてください。ダウンロード用のリンクが表示されます。